学生レポートvol .2|【2023年7月号】農家が豆腐をつくるということ(後編)

今号一緒に取材に行った愛媛大学社会共創学部山口信夫ゼミの学生によるレポートです。
まだの方は学生レポートvol .1|【2023年7月号】農家が豆腐をつくるということ(前編)からお読みください。

14:00 種まき見学!のはずが…突然の雨

お昼休憩をはさみ、午後からは種まき見学への予定です。
しかし、それまで持ちこたえていた天気が移動中に急変し、突然の大雨が!
10 分程で雨は上がりましたが、種まきは中止に。
雨によって畑の水分量が多くなった状態で種をまいても、発芽率が低くなり、育ちも悪くなるそう。
「この感じだと明日も厳しそうですね…」と曇った表情の渡邊さん。
私たちが到着する前から色々な準備をしていただき、後は種をまくだけ!という状況だっただけにとても残念でしたが、農業の不確実性を改めて感じた瞬間でした。

代わりに渡邊さんに色々なお話を伺いました。
まずはトラクターを見せていただくことに。
数分後、納屋から相棒のトラクターを慣れた手つきで運転する渡邊さんの姿が。
その車体の後ろには種がぎっしりと詰まったタンクが横 1 列に7つ。
その下にある装置で種を播いていきます。

トラクターの後ろには蒔く予定だった大豆が積んであった

 

ちなみに、この種には病気の予防や虫、鳥による被害防止の役割があります。
雑草が生えるのを防ぐため、畝の間隔を狭く取っているのが特徴で、10a あたり約 8kg の種をまき、4 ヶ月かけて栽培した後、11 月上旬に10アールあたり150kg もの大豆が収穫できるそう。
豆道楽では、約 1300a もの土地で大豆を栽培しているため、全体の収穫量は約 20t にもなる計算です。大豆の成長は雨量などの天候にも左右されますが、その中でもできるだけ農薬には頼らず、瘦せないような土地づくりにこだわって様々な工夫をされています。
ひまわり畑もその一環で、一部を緑肥として活用することで土壌の菌を増やし、植物が育ちやすい環境にしているのだとか。

渡邊さんのお話の中で一番印象的だったのは「私たちは農業を守っているのはもちろん、景色も守っているんです」という言葉。
地域の方々から土地の管理をお願いされることもあり、その土地を借り受けているそう。その結果、豆道楽が所有する土地の面積はなんと25haにものぼっています。
近年では耕作放棄され、荒れてしまった土地も増えてきていますが「せめて自分たちが持つ土地だけは…」と、ひまわりをはじめとする様々な作物を栽培して土づくりや景観の保持に取り組んでいます。
このお話のときの表情からは農業や豆腐づくりにも負けない熱意を感じました。

お話を聞いてから見るひまわりはより綺麗に感じる

 

15:00 大豆を育て、豆腐をつくり、ぶどうや麦まで育てる…

急な雨で大豆畑の見学は出来なくなったものの、「うちは豆腐屋じゃなくて、農家なんです。」と渡邉さんは自慢のぶどう畑を見せてくださいました。
8 月上旬に旬を迎えるぶどう。
ひとつひとつ手作業で行う袋がけは、豆道楽の皆さんで行うそう。
ぶどうは摘粒という小さい粒などの不要な粒を取り除く作業が重要だそうで、この作業を行うことで粒の大きさを揃え、形のいいぶどうに仕上がります。
その作業をしないと、粒同士が潰し合ってしまったり、実が美味しく育たないそうです。

また、渡邉さんのぶどう畑で印象的だったのは、木の数が少ないというところ。
目の高さには満遍なくぶどうが実っていましたが、少し下を見ると木の数の少なさに驚かされました。
お話からも伝わる行き届いた管理や作業の丁寧さなどから農業への情熱を感じました。

ぶどうの園地でお話を伺う

 

取材・ライティング:愛媛大学 社会共創学部 山口信夫ゼミ小松美雨、川上なつき、原田実乃里(3 回生)

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