学生レポートvol .16|【2025年5月号】ごめんケンカシャモ(高知県南国市/ごめんシャモ研究会)

高知市から続く路面電車の終着駅がある、南国市後免町。
この町では、地域にゆかりのある希少な闘鶏「ごめんケンカシャモ」が飼育されています。
今回は、「ごめんシャモ研究会」の立花智幸さんと西村浩利さんに、その取り組みについてお話を伺いました。

\高知大学生のみなさんの取材の様子はYouTubeでも公開中!/
https://youtu.be/-34hn7f1HIg

シャモってどんな鶏?

ごめんケンカシャモ

シャモは江戸時代にタイから日本に持ち込まれた闘鶏(鶏同士を戦わせる競技)用の鶏です。
筋肉質な体と強い闘争心を持ち、歯ごたえのある食感と濃厚な旨みが特徴です。
その分飼育が難しく、群れの中でのケンカが多く、ストレスにも敏感です。

そんなシャモをベースに、高知県南国市後免町で「ごめんケンカシャモ」が育てられています。
100%純血種シャモの血統を守りながら、150日以上の放し飼いで育て、南国市の野菜くずや米くずなどを飼料に活用しています。

祭りでは終わらせない、本気の町おこし

ごめんシャモ研究会理事長の立花さん(左)と飼育担当の西村さん(右)

ごめんケンカシャモの取り組みがはじまったのは2009年のこと。
立花さんをはじめとする地域の方々が「祭りのような一過性の町おこしではなく、雇用が生まれ地域経済に貢献する持続可能な町おこしをする必要がある」と感じ、ごめんケンカシャモの飼育・流通に乗り出しました。

第6回彩の国全国鍋合戦にてグランプリを獲得し、「第6代鍋奉行」に輝いた

その際に鍵となったのは、坂本龍馬が亡くなる前に食べ損ねたとされるシャモ鍋の逸話と、多種多様な野菜が採れる南国市の地の利でした。
南国市の歴史と資源、そして「後免(ごめん)」という地名が組み合わさり、「ごめんケンカシャモ」が生まれました。
埼玉県の「第6回彩の国全国鍋合戦」にて、エントリーしたシャモ鍋が優勝したことをきっかけに、ごめんケンカシャモのブランド化を本格的にスタートさせていくことになりました。

最初は70羽の飼育から始まりました。
シャモの飼育経験がなかった立花さんたちは、地域の方や行政の方たちに支えてもらいながらシャモの飼育を始めます。
通常、3か月育てられた鶏は地鶏と認定できますが、ごめんケンカシャモは5か月もの期間をかけて大切に育てられています。
コストはかかりますが、通常の地鶏よりも歯ごたえと旨みが際立った肉質に仕上がっています。

子どもたちが語る“地元の誇り”に

高知農業高校との連携の様子

シャモは地元高校との連携によって、卵の孵化や商品化が行われます。
高校との連携は先生との話の中で、高校に未使用の古い孵化機があると聞いたことから始まりました。
古い孵化機しか高校にはなく、先生も生徒も困っていたところ、ごめんシャモ研究会が新しい孵化機を整備しました。
現在では生徒が新しい孵化機を使い、月1回の孵化が行われたり、土佐のご当地グルメナンバーワンを決めるイベントである「土佐の食1グランプリ」にむけて商品開発も行われたりしています。

また、高校だけではなく小中学生に向けた活動も行っています。
小中学校では給食への提供や出前授業も実施。
地元の子どもたちが「自分の街にはこんな面白い取り組みがある」「南国にも有名なものがある」と知ることができる機会を作っています。

西村さんの背中にも「シャモ番長」

このような活動が功を奏して、高校生が考案したキャラクター「しゃも番長」は南国市のPRキャラクターとなり、地域の人々から「しゃもさんはおらんか?」と声をかけられるほど、地域に浸透してきました。

「あの町にはシャモがある」と言われる未来へ

70羽から始まり、鍋大会での優勝や地元の人との協力、学校との連携など様々なことに取り組んできたごめんシャモ研究会。
現在は約1500羽を飼育しており、今年は2000羽を目標に、今後はさらに数を増やしていく予定だそうです。

最終的には「子どもが胸を張って誇れる地域にしたい」と立花さんは語ります。
立花さんは南国市で育ち、県外に出たときに南国市には有名な祭りも食もないと感じることがあったそうです。
子どもたちが県外に出たときに、「何もないな」と感じるのではなく、地元に誇りをもって「自分の町にはシャモがある」と言えるような存在にしていきたいと立花さんは願っています。

立花さん、西村さんと高知大学地域協働学部の学生編集部のみなさんで記念写真

ごめんケンカシャモは、ごめんシャモ研究会の皆さんと南国市の様々な方が協力して飼育されている貴重な鶏です。
ごめんケンカシャモの歯ごたえや旨み、そしてそれに込められた人々の想いを、ぜひ一度味わってみてください。

\ ごめんケンカシャモを高知で食べるなら…! /
📍軍鶏伝
住所:高知市帯屋町2-3-1 ひろめ市場内
電話番号:088-855-5815
駐車場:あり(有料)
Web:https://gomensyamo.com/syamoden/